何が原因で白血病になるの?
白血病の原因について、はっきりとしたことは未だ解明されていません。
原因として「遺伝的要因」と「環境的要因」の組み合わせから発生するのではないか、といわれ、さまざまな研究により「白血病のリスクを高める可能性がある要因」が確認されています。
この記事では、とくに海外で一般的に紹介されている「14の白血病のリスク(危険因子)」を紹介します。
記事を書いているのは、イギリス在住で元看護師、白血病を患った妹のドナーとなった経験のあるアルノです。
※これらの項目は、白血病発症のリクスを高める因子であり、必ずしも疾患を引き起こすわけではありません
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白血病の原因となりうる14の危険因子(リスク)とは?
1)家族に白血病患者がいる
急性骨髄性白血病(AML)を患う子供の兄弟姉妹は、発症の危険性が最大4倍高く、ふたごにおける危険性は約20%。
しかし、親が白血病を発症している場合のこどもへの関連性は確認されていません。
親、兄弟姉妹、または子供(一等親家族内)に慢性リンパ性白血病(CLL)患者がいる場合には、2倍のリクスがあると言われます。
2)喫煙
タバコは、急性骨髄性白血病(AML)を発症するリスクが高まると言われ、白血病症例の約20%が喫煙に関連していると考えられています。
喫煙は白血病だけではなく、肺がんなど他のガンのリスク因子でもあります。
がんになった人のうち、男性で30%、女性で5%はたばこが原因だという日本の研究結果があります。(国立がん研究センター)
子供の白血病は、親の喫煙との関連性が、そして受動喫煙にさらされた母親は急性リンパ性白血病(ALL)を発症するリスクがわずかに高いと考えられています。。
タバコには後述する「ベンゼン」や「ホルムアルデヒド(煙)」も含まれています。まさに100害あって一利なし!
3)ダウン症などの遺伝性疾患がある
ダウン症、ファンコーニ貧血、クラインフェルター症候群などの特定の遺伝性疾患は、白血病のリスク要因と関連していることがわかっています。
ダウン症候群の人は、白血病を発症するリスクがおよそ20%高くなります(AMLおよびALL)。また、発生率で一番多いのが5歳未満のこどもです。
4)血液疾患
骨髄異形成症候群、骨髄線維症などの特定の血液疾患を持つ人々は、AMLを発症するリスクが高くなると言われています。
骨髄異形成症候群は、「前白血病」、「くすぶり型白血病」とよばれることもある血液のがんの一種。
急性骨髄性白血病(AML)の危険性があります(最大30%)。
5)化学療法または放射線療法による以前のがん治療
他のがんに対して特定の種類の化学療法や放射線療法を受けたことのある人は、治療後に急性骨髄性白血病(最も多い)と急性リンパ性白血病を発症するリスクが高くなります。
以前にうけたがん治療が関連しておこる白血病は、「二次発がん」、「治療関連白血病」と呼ばれます。
化学療法などの治療後、約2年でリスクがふえはじめ、5年~10年の間にリスクがピークに達します。
これらの二時発がんの発生する頻度は、年齢、遺伝的要素、免疫状態などの本人の要因、受けた治療内容(化学療法、放射線療法、薬物の種類)とその部位、がんの種類、喫煙などの環境因子に大きく関係するといわれています。
6)高レベルの放射線への暴露
かなりの高レベルで放射線にさらされると、急性骨髄性白血病(AML)を発症する可能性が高まります。
レントゲン、CTスキャン、PET、放射線治療、さらに原子力事故、原子爆弾などが関連すると言われています。
MRIは、磁気と電波による検査なので放射線による被爆はありません
▶放射線による健康への影響はこちらの記事でさらに詳しくまとめています。日常に潜む放射線、、ぜひ参考にしてくだださい。
7)ベンゼンなどの化学物質への暴露
ベンゼンは白血病の発症率を高める周知の事実とされています。
ベンゼンは、ガソリン、ペンキなどの塗料、石油系溶剤、プラスチック、農薬、洗剤などさまざまな生活用品に含まれている「発がん性物質」。
妊娠中および子供の頃の家庭での塗料などのベンゼン暴露は、こどもの急性リンパ性白血病(ALL)のリスクと関連しています。
石油系溶剤を家庭で使用すると、小児急性骨髄性白血病(AML)のリスクが高まります。
8)ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、日本では「シックハウス症候群」をひきおこす原因物質のうちの一つとして知られています。
毒性が強く、建材、家具などから空気中に放出され、濃度によって人体に悪影響を及ぼす「発がん性物質」です。
近年では規制されいるため、放散量自体それほど多くありませんが、室内での主な発生源は「合板(パーティクルボード、ファイバーボートなども含む)」です。
壁や天井、床フローリングなど家のあちこちに合板が使われています。
どの程度のばく露(量または期間)が問題になるかは明確になっていません。
「目がチカチカする、涙が出る、鼻水が出る、のどが乾く・痛む、咳がでる。。」ホルムアルデヒドは、これらの症状を引き起こすシックハウス症候群の原因となる代表的化学物質です。
9)飲酒
過剰な飲酒は多くの癌と関連していることがわかっていますが、白血病との関連性は解明されていません(2014年の研究結果)
しかし、妊娠中の母親のアルコール摂取と 子供の急性骨髄性(AML)には関連性があることが指摘されています。
10)ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染は、必ずしも白血病を発症するわけではありませんが、成人T細胞白血病のリスクを高めます。
HTLV-1はHIVと同様の感染経路です。主には母乳による母子感染(60%)。
また、性的接触、薬物乱用者の間で針の共有などでも感染します。(輸血は現在では規制されています)
11)その他の環境因子
小児期の予防接種や、原子力発電所や高電圧送電線の近くでの生活などの環境因子は、急性骨髄性白血病(AML)を引き起こす可能性があることが示唆されています。
12)年齢におけるリスク
白血病のリスクとしての「年齢」は、白血病の種類によって異なります。
こども:
急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)は小児癌では最も多く、30%(日本では白血病全体で40%)を占めています。
急性リンパ性白血病では、5歳未満のこどもが最も多いとされています。
成人:
急性骨髄性白血病(AML)は成人で最も多い発症率(診断時の平均年齢は68歳)。
急性リンパ性白血病(ALL)の症例の約40%は成人です。
高齢者:
慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)は、高齢者に多く、40歳未満の発症は珍しいとされています。
「小児がん」とは、一般に15歳以下で発症する悪性腫瘍(癌)をさしています。
13)性別
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)は、女性より男性でわずかに多くなっています。
喫煙などの理由が示唆されているものの、明確な理由は解明されていません。
14)出生体重
出生時の体重が重かった(出生時体重が4000g以上)子供は、急性リンパ性白血病(ALL)を発症するリスクが高くなると言われます。
まとめ
以上、白血病の原因となりうる14の危険因子を紹介しました。
少しでも多くの方の白血病リスク回避になれば、と この記事をまとめました。
重要なことが2つあります。
- 「これらの危険因子を持つ人のほとんどは白血病になりません。」
- 「白血病の多くの人々はこれらの危険因子のどれも持っていません。」
この記事に紹介したリスク因子を持っていることが あなたが癌にかかることを意味しないし、リスク因子を持っていないからあなたが癌にならない、ということを意味するものでもないのです。
世界中の科学者達によって白血病の原因が研究され、調査が行われています。
この記事は海外医療機関の発信するさまざまな(イギリスNHS含む)情報からまとめたものです。参考記事の一例は、「Causes and Risk Factors of Leukemia┃Verywell Health)」
❍白血病の原因についての記事はこちらです。
▶【レントゲンやタバコ?放射線の7つの種類】ガンなど健康への影響をしるための記事はこちらです。
▶白血病の原因となりうる生活上のリスクについては、こちらの記事が参考になります。
たばこ喫煙や飲酒、レントゲン(放射線被曝)などは明らかに「発がん性」があると認められているし、これらは自らの意思でやめる(または控える)ことができますよね。
多くの人が、がんや白血病のリスクを高めることなく安心した生活をおくることができることを願っています。
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