「60歳以上の年齢で、白血病と診断されたら?」
実は白血病の発症率は、年齢が高なるほど多くなる傾向があります。
アメリカ国立がんセンター(National Cancer Institute)では、白血病と診断されるもっとも多い年代が65歳~74歳であること、診断時の年齢の中央値は66歳だと発表しています。
日本における白血病の過半数を占めているのも 65歳以上であるというデータがあります。(JALSG関連施設の調査結果)
注意したいのが、60歳以上の白血病の治療方法や考え方は、こどもや、AYA世代といわれる若年とは全く違う、ということ。
この記事では、60歳以上で白血病と診断された人に向け、はじめに知っておくべき4つのことを紹介します。
記事を書いているのは、イギリス在住で元看護師、白血病を患った妹のドナーとなった経験のあるアルノです。事前の予備知識で、生活の質をおとさず 効果的な療養生活をおくれるような工夫がわかります
【実質半額】楽天市場 スーパーDEAL
\毎日更新。50%OFFで入院前、治療中のショッピングに役立つ /
1)QOL(キューオーエル)│生活の質が大事
QOL(キューオーエル)とは、クオリティ・オブ・ライフの略で、【生活の質】と訳されています。
60歳以上の白血病では、抗がん剤治療の【リスク】と【効果】を天秤にかけながら、それぞれにあわせた治療をすることになります。
また、中には治療を断り 白血病の症状をコントロールする、積極的な治療をおこなわず輸血による対処療法をする、ホスピスへ転院する…などの選択肢もあります。
辛く厳しく痛い治療を行うことと引き換えに得られる効果があまりにも低いと判断された場合は、この【QOL(生活の質)を考え、白血病とともに暮らす】という治療がおこなわれる可能性もあります。
これは、医師の診断結果から、本人と家族、医師が十分に話し合う必要があります。
2)60歳以上の治療のリスクを事前にしっておく
60歳以上の人がもつリスクを紹介します。
①かねてからもっている病気や健康状態のリスク
65歳以上の人への治療方針は、その人の全身状態や合併症があるかないか、、などを考慮し、強力な化学療法ができるかどうかを判定することになります。
さらに『予後分類』にそって、治療方針がえらばれます。
白血病と診断されるときに持っている病気により、強い作用のある抗がん剤治療が行いづらくなることがあります。
【年齢が高くなると よくみられる病気例】
❍心臓や肺・肝臓や腎臓の働きの低下
❍感染しやすい(免疫力がよわくなっている)
❍高血圧
❍高脂血症
❍糖尿病
❍脳血管障害
…など
抗がん剤の毒性は、肝臓や腎臓のはたらきによって体の外へ出されます。
これらの臓器の働きが弱いと、抗がん剤の毒性がからだの中に長くとどまることになるのです。
かねてから持病をもたないよう 食事療法や軽い運動を継続して行うようにしましょう。
②強い抗がん剤のリスク
強い抗がん剤をつかうことで、体へのダメージが他の世代より大きく、より強い副作用がでることになります。
例えば、重度の臓器障害や、肺炎などの感染症をおこすリスクが高くなるのです。
骨髄移植や造血幹細胞移植は、抗がん剤治療がきかない場合や、予後がわるいとされる種類の白血病にとってすばらしい治療の手段ですが 高齢で移植をおこなえば 若い人よりリスクは高くなります。
リスク1:移植が患者のからだに相当の負担を与える
リスク2:移植前に約1週間ほどかけて行う超大量超強力な抗がん剤治療や放射線治療に耐えられない
しかし、新しい移植法である【ミニ移植】があります!
60歳以上の人にも比較的安心できる移植が開発されているのです(次の項目)
3)ミニ移植という方法がある
ミニ移植とは、『骨髄非破壊的移植』といわれる新しいタイプの移植です。
これは、今まで骨髄移植がむずかしいとされていた60歳以上の人や、もともとの臓器が弱く移植に耐えられないだろうとされていた人にも移植ができるように開発された移植です。
簡単にいうと、ミニ移植とは 普通の移植より少量の抗がん剤と少量の照射選治療をおこなう方法です。
また、ミニ移植法は、移植前の強力な治療をせず、移植したドナーの正常な骨髄によるGLV(移植片対白血病効果)による効果を期待した治療法であり、患者さんの移植前の負担がかるいのが特徴です。
このミニ移植によって、60歳以上の方の治療が可能になるケースが増えているのだそうです。
▼60歳すぎて臍帯血ミニ移植をされた りっちゃん@混合型白血病 さんのツイートより。
60過ぎて
— りっちゃん@混合型白血病 (@fpZj3NmSRuKxHu1) November 3, 2022
臍帯血ミニ移植して、、、
リンパでも骨髄でも無い混合型で
予後不良と言われたけれど💦
移植から2年4ヶ月で
沖縄の夕陽見れたよー✌️✨
5年経ったらハワイだよ😘 pic.twitter.com/Fi8IFRIMSZ
4)治療方法は個人でちがう
60歳以上の白血病を治療するときには、【抗がん剤治療の毒性】と【効果】を比較しながら、その人個人にあわせた治療がおこなわれることになります。
たとえば、健康な状態であれば、他の世代とおなじように強力な抗がん剤治療(薬は少なくされていることが多い)を行う場合もあります。
そのほかには、輸血などの対処療法と経過観察をすることで、積極的な治療をするより、長く生存できる可能性もあるんです。
白血病の種類や年齢、既存の病気、診断時の全身状態、本人や家族の希望など…によってちがうんです。
まとめ
以上、『60歳以上白血病について、はじめに知っておきたい4つのこと』を紹介しました。
事前にしっておくべき4つのことをまとめます。
❍生活の質(QOL)が大事だということ
❍既往症や抗がん剤や骨髄移植などについてさまざまなリスクがあるのだということ
❍ミニ移植という移植法が開発されていること
❍治療の方法は人それぞれであること
この記事を読んでいるあなたは60歳以上で白血病と診断されたのかもしれないし、家族やまわりの人が高齢で白血病と診断されたのかもしれません。
なんにせよ、ものすごく心配ですよね?
多施設による白血病臨床研究をおこなっている、JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)という団体があります。
日本で過半数を占める65歳以上の白血病に関する治療プログラムをすでにスタートさせ、さまざまな角度から調査研究されています。
60歳以上の白血病の治療成果は、今後ますます改善が期待されているのです。
▶15歳以下のこどもの白血病(小児白血病)についてはこちらの記事を参考に。
▶AYA世代といわれる15歳から39歳までのがんについてはこちらが参考になります
▼入院準備についてはこちらの記事が参考になります。
あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。アルノ