「治療だけでなく、今後の生活の不安や悩みは誰に相談すればいいの?
がん・白血病と診断された後、治療以外に何がおこると思いますか?
実は お金の問題や、精神的な苦痛、仕事や学校との両立、将来の不安、治療方法の不安など、治療以外のさまざまな問題が同時におこります。
病気となった本人だけでなく、家族も同じように悩み、迷い、不安にさいなまれることになります。
そこで頼りになるのが「ソーシャルワーカー」と呼ばれる相談専門のスタッフ。
病院の「相談窓口」にいる医療ソーシャルワーカー(MSW)に不安や悩みを相談することで、治療やお金、今後の生活のことなど総合的なアドバイスをうけることができるのです。
一人で不安をかかえこまず、病院の中に専門家として存在する「医療ソーシャルワーカー」を訪ねてみませんか?
この記事では、「医療ソーシャルワーカーとは?」、「具体的にどんな相談にのってくれるのか?」がわかります。
記事を書いているのは、元看護師で骨髄性白血病を患った妹のドナーになった経験のあるアルノです。
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1)ソーシャルワーカーとは?
シャルワーカー(Social Worker)とは、日本では「社会福祉士」と訳されますが、広い意味で社会福祉士、精神保健福祉士などをまとめて呼ぶことが多くなっています。
この2つは国家試験の合格が必要な国家資格です。
ソーシャルワーカーと出会う場所は、高齢者施設や児童施設、社会福祉協議会、福祉行政施設、役所、保健所、精神病院、学校そして病院などさまざま。福祉や保健、教育、医療の場で働いています。
分野によって多岐にわたるソーシャルワーカーですが、病院にいるソーシャルワーカーは【医療ソーシャルワーカー(MSW)】と呼ばれる人たちです。
医療ソーシャルワーカーはどこにいるの?
高度ながんの治療や白血病の骨髄移植を行うような大きな病院の場合、「がん診療連携拠点病院」となっていて、受付近くに「がん相談支援センター」が設けられ、医療ソーシャルワーカーたちが治療やくらしの相談にのってくれるのです。
2)医療ソーシャルワーカーとは?
では、医療ソーシャルワーカー(英語ではMedical social worker│MSW)についてちょっとくわしく説明します。
「医療ソーシャルワーカー」、略してMSWとは、病院などの医療機関の窓口で 患者やその家族、遺族の相談にのってくれるソーシャルワーカーです。
医療ソーシャルワーカーとして絶対に必要な「資格」はありません。
病院で働くソーシャルワーカーは国家資格である「社会福祉士」、「精神保健福祉士」の有資格者が多いのが現状です。それだけ福祉についてよく知っておく必要があるのです。
医療ソーシャルワーカーに相談する際の大事なポイント
ソーシャルワーカーのいる場所は、たいてい病院受付近くの「がん相談支援センター」、「医療福祉相談室」、「患者相談センター」、「メディカルサポートセンター」などの窓口にいます。
相談できる内容は、治療に関するお金の不安、精神的な不安や 生活の悩み、疑問など、いわゆる「なんでも相談」が可能です。
患者本人だけではなく、その家族や遺族、友人でも相談することができます。
相談できるのは、たいてい平日の病院が開業している時間帯(病院によって違います)。
❍相談料金などはなく、無料で相談できます。
ソーシャルワーカーがいる場所がわからないときは、病院の受付や看護師にどこにいるか聞きましょう。
病院によって窓口の名前はいろいろですが、そもそも がんの拠点病院には「がん相談支援センター」を設置しなければいけないことになっています。
3)具体的にどんなことを相談できるの?
でも、実際相談するとなると「何を話せばいいのかわからない…」と とまどう人も多いでしょう。
わたしもそうでした。
相談する内容を前もって準備しておくと、相談の内容が充実し、答えがよりはっきりみえてきます。
医療ソーシャルワーカーに相談する具体的な例を紹介します。
①経済的なこと
- 「医療費の支払いが心配なんです…」
- 「医療費の支払額を前もって知りたい…」
- 「何か利用できる公的なサポートがないのか…」
- 「このまま入院が長引いたら、将来仕事できるんだろうか…」
- 「借金があるのに、入院なんてできない…」
- 「何か利用できる社会制度はないのか…」
など!
お金のこと、経済的なことって医師や看護師には伝えにくい!医師や看護師が相談をうけても、関連する専門知識がないために必要な情報が得られないことも多い。
社会保障制度や福祉、地域のサポートに詳しいソーシャルワーカーが頼りになります。
②受診・受領の援助
- 「入院中に別の病気の治療もしたい…」
- 「入院中に歯の治療がしたい…」
- 「体調がずっと悪いが、他の診療科を受診できるか…」
- 「このまま退院なんて不安…」
など!
身体の状態と生活状況に合わせて、サポートをうけられる情報を教えてくれます。(別の診療科、患者会、家族会、栄養指導、リハビリなどの紹介など)
③療養中の心理的・社会的な不安
- 「職場の人にどんなふうに伝えればいいのかわからない…」
- 「仕事・学校と治療を両立させる方法がわからない…」
- 「医者から病気の説明をうけたけど、意味がわからず不安…」
- 「本当にこの治療方法でいいのか、他の方法がないのか?」
- 「別の治療法について聞いたが、この病院で受けられるのか?」
- 「セカンドオピニオンを受けたい…」
- 「不安で眠れない…」
- 「この先どうなるのか心配…」
- 「子供ができるのか不安…」
- 「担当の医者や看護師と合わない気がする…」
場合によって医師や看護師と連携してサポートしてくれます。セカンドオピニオン先や療養先の紹介なども。
④転院・退院・在宅医療について
- 「転院・退院を手伝ってくれる人がいない」
- 「退院しても自宅に戻れる状態じゃない、どうしたらいいのか…」
- 「退院後にホームヘルパーや福祉用具を利用できる?」
- 「どうしても転院したい…その方法は?転院できる病院があるのか?」
- 「在宅療養をしたいが、できるか不安。社会的サポートがあるのか?」
など!
転院や退院後の生活について一緒に考えてくれます。
たとえば退院時に介護保険制度が必要なときは、ケアマネージャーと連携し、退院後に必要な介護サービスを受けられるようにする、など退院後に安心して暮らせる方法を一緒に考えます。
4)家族のそうだん例
- 「経済的に苦しい…」
- 「一家の大黒柱が病気になってしまった、将来が不安」
- 「闘病がつらそうで、見ていられない、苦しい」
- 「もともと仲が悪い家族で看病をする気になれない…」
- 「親の介護もあるのに、看病できるのか不安」
- 「自分の体の調子も悪く、入退院の世話やお見舞いが頻繁にできない」
- 「仕事で多忙なのでお見舞いに来れない」
- 「看病にもう疲れてしまった」
- 「精神的に限界だ、もう無理だ…」
- 「別の家族も病気になってしまった…」
- 「治療方法がどうしても納得できない」
医療ソーシャルワーカーに相談しにくる人って、実は家族がとても多いそうです。複雑な家族の悩みを一緒に考えてくれます。
5)まとめ
以上、「医療ソーシャルワーカーってどんな人たち?」、「具体的にどんな相談にのってくれるのか?」ということを紹介しました。
医療ソーシャルワーカーに相談すると、むずかしい社会保障制度やよくわからない福祉関連のこと、さらに経済的なことや精神的な不安、退院後のくらしなどの総合的なアドバイスをうけることができるのです。
ポイントは、「一緒にかんがえる」というサポートをしてくれるのがソーシャルワーカーだということです。
たとえば、「仕事が今までのようにできないため、今後の生活に不安がある」なら、利用できる公的な社会保障の紹介や、福祉のサポート窓口の案内、会社との調整方法、必要なら利用できる療養先の紹介などをおこなってくれるでしょう。
でも、多くの手続きは実際に本人がでむいたり、家族のサポートが必要だったりします。
そして解決方法は人ぞれぞれなのです。
困っていることをソーシャルワーカーに相談することで「社会にはこんな方法や保障があり、こんな場所やサービスがある」と知ることができる。
そして、どうすれば一歩ふみだしていけるのかを一緒に考えてくれるのがソーシャルワーカーだとわたしは思います。
治療について、お金のこと、仕事、子育てのこと、学校のこと、、ひとりで悩んでいませんか?
答えがでずにもんもんと過ごしたり、悲しい気分をもてあましていませんか?
そんな人にこそ勇気をだして医療ソーシャルワーカーに相談してほしいのです。
入院するとあらゆる医療スタッフと関わることになります。
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