無菌室で治療中、食べられないものは何?
骨髄移植や末梢血幹細胞移植などの移植の前後には、病院の食事が「加熱滅菌食」に変わります。
この「加熱滅菌食」は「無菌食」と呼ばれ、移植の前におこなう前処置後に体の中の白血球数がほとんどなくなるため、感染から身をまもる目的で行います。
細菌や真菌(かび)、ウィルスが原因となる感染症を防ぐために徹底した食事管理が必要なのです。
じゃぁ、どんな食品がNGなの…?
普通の食事をしている健康な人には、どんな食品にどんな感染のおそれがあるとは考えたこともないため、想像ができない!
入院中の食事は、それぞれの病院のルールと主治医の指示があります。
この記事では、「無菌室で食べてないけない食品」=「感染から身をまもる無菌食」の8つのリストを妹の体験をとおして紹介します。
無菌室での治療が必要になった本人や家族のひとへ。この時期にすこしでも『美味しい』と思える食品に出会えることを願っています。
記事を書いているのはイギリス在住、元看護師、白血病の妹のドナーとなった経験があるアルノです。NG食は病院によって微妙に違うので、あくまでも参考にしてください。
1)生や生焼けのお肉・お刺身・生卵はNG
- お肉や魚介類はよく焼かれたもののみOK
- 生卵はNG
生肉や生の魚介類には、サルモネラ菌やカンピロバクター、腸炎ビブリオ、O157、O111などの病原性大腸菌などの細菌やノロウィルスなどのウィルス、アニサキスなど寄生虫の危険があります。
生のお刺身やお肉、たまごは 主に食中毒を防ぐためにNG!
2)生の野菜(サラダ)NG
- 生の野菜NG
には、ノロウイルスやサルモネラなどの細菌、土の中のカビ(真菌)などさまざまな危険があります。
サラダなど食中毒がこわい!
新鮮な生野菜の解禁は、無菌室で治療をうける患者さんがまちのぞむ食べ物の第一のことかもしれません。
3)生のフルーツだいたいNG
- 生のフルーツNG
生のフルーツには、サルモネラなどの細菌やノロウイルス、土の中の真菌、汚染水による洗浄などさまざまな危険があります。
厚い皮をむいて食べるバナナやオレンジはOKでしたが、その他のフルーツはNGでした。
特にグレープフルーツNG!
- グレープフルーツNG
グレープフルーツは、白血病の治療でつかう免疫抑制剤の血中濃度に影響を与えるため、摂ってはいけないし食べ物になります。
グレープフルーツのジュースや、果肉のはいったゼリーなどの加工品もNGです。
グレープフルーツの他、レモンや八朔、スィーティ、ブンタン(河内晩柑(カワチバンカ)、晩白柚(バンペイユ)、サワーオレンジなどの柑橘類も同じように相互作用があるため食べないようにします。
4)乳製品NG
- 殺菌されていないミルクや乳酸菌飲料NG
- 殺菌済みの乳製品はOK
殺菌されていないミルクや乳酸菌飲料などの乳製品は、サルモネラやカンピロバクター、リステリア・モノサイトゲネなど細菌に汚染されている危険があります。
フレッシュな生クリームが入ったケーキなどは、主治医からOKがでるまでは我慢!
殺菌表示のあるものはOKです。
生クリームのかわりにチーズケーキや焼き菓子、お饅頭などは食べることができました(個包装おすすめ)
5)チーズ(カビ系)NG
- カビ系チーズNG
- プロセスチーズOK
個包装のプロセスチーズはOKでした。
カマンベールやブルーチーズなどのカビチーズは、真菌感染の危険がるためNG。
6)納豆NG
- 納豆 NG/OK(病院による)
納豆は病原性は低いといわれています。
しかし、熱しても菌が死滅しない(100℃以上の熱にも耐える)ため、食べない方針の病院が多いです。
7)はちみつNG
- はちみつNG
はちみつにはボツリヌス菌の恐れがあります。
特に免疫抑制中でなくても1歳未満の乳児にははちみつを与えてはいけません。
8)スィーツやアイスクリームの注意点
- バニラビーンズ入りのアイスクリームやプリンはNG
- 一度溶けたアイスクリームはNG
- 果肉入りのヨーグルト、ゼリー、アイスクリームはNG
- 賞味期限がキレてる!または短いものはNG(少なくとも1週間以上ある)
- はちみつ入りは避ける
- カスタードクリーム入りのお菓子NG(生卵をふくむため。シュークリームなど)
- 個別包装されていないお菓子やパンはなるべくNG
これ以外のアイスクリームやシャーベット、果肉の入らないヨーグルトやゼリーは食べられます。口内炎がひどいときはとくにゼリーが大活躍します
その他の注意点
- 賞味期限・消費期限切れを買わない
- 賞味期限に余裕のあるものを買う(目安は1週間以上)
- ペットボトルの水を開封したら、直接口をつけずコップにうつして飲む
- ペットボトルの水やジュースのフタをあけた後は、フタをしめて冷蔵庫へ。24時間すぎた水は捨てる。
- おにぎりや巻きずしなど手で直接ふれた食品はもちこまない(黄色ブドウ球菌などの危険あり)
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まとめ
以上、「無菌室にいるとき、食べられないものと注意点」を体験談とともに紹介しました。
無菌室での治療中は、体調がすこぶる悪く食事もろくにとれない状態がつづきます。
味覚が変わり、食欲がなくなった妹に対して「食べれるものを少しだけでも。。!」と願ってあれこれ食品を試しました。
ここで紹介した食品は、食中毒や、ウィルス感染、寄生虫などの恐れがある移植後の体には非常に危険な食べ物です。
うっかり病室にもちこまないよう、注意しましょう。
つらい無菌室生活も、治療がすすめば「生食解禁の日」がやってきます。
治療の状態や主治医の判断で違いますが、生食解禁の目安としては移植後3ヶ月後くらいから。
「生食解禁したら食べたいもの」のリストをつくり、それを励みにみんな頑張っていました。
他に無菌室での過ごし方について別記事があります。こちらも合わせてご覧ください。
» 白血病で無菌室!そこにいる理由は?お見舞いしてもいいの?
»【無菌室にスマホは持ち込める?】入院中はスマホなしではいられない
» 無菌室にいるときに食べられるものリスト(体験談)移植後に何をたべていいの?
無菌室での治療中は、ペットボトルの国産ミネラルウォータを飲無事になるでしょう。おいしくて体にやさしいオススメの水をあつめました。
» 入院、療養におすすめのミネラルウォーター(ペットボトルの水)ランキング!
無菌室での治療は、治療自体が大変ハードなものになるため、スマホどころではなくなる可能性もあります。しかし家族や友人、SNSで元気や勇気をもらえる唯一の手段にもなります。
▼入院の持ち物準備リストはこちら。必須のものやあったら入院生活が快適になるものなど、元看護師の目線からわかりやすく紹介しています。
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入院生活が長くなったとしてもでも回復期になると体力がついてきます。すこしでも楽しめる工夫をしてみませんか?
入院生活がすこしでも快適になることを願っています。
あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。Byアルノ