抗がん剤の副作用|皮膚・爪の変化とアピアランスケア

抗がん剤の副作用により、皮膚や爪にも変化が起こります。

これは、抗がん剤により新陳代謝を行う細胞がダメージを受けることで、皮膚や爪へ栄養や酸素がうまく行き渡らなくなり、正常な細胞分裂をすることが難しくなることで起こります。

また、皮脂腺へのダメージも起こるため、皮脂の分泌量が低下して、皮膚が乾燥し、皮膚のバリア機能が大きく損なわれることから、さまざまな皮膚障害につながると考えられます。

この外見の変化は、治療終了後には消失するものがほとんどです。たとえ治療中、外見の変化に戸惑っても「あなたがあなたらしさを表現できますように」「あなたらしい美しさを表現できますように」と願ってこの記事を書きます。


症状として現れるもの

1.皮膚

●乾燥する(角質層が薄くなり、皮脂腺や汗腺の分泌が低下することで生じるといわれている)
●かゆみ
●敏感になる
●黒ずむ
●発疹、紅斑

2、爪

●黒ずむ
●割れる
●縦に線がはいる
●爪自体がふやけたようになり、もろくなる


日本には、ガンなど悪性腫瘍の調査、研究、技術開発、および医療の提供、技術者の研修などを行う、国立がん研究センターが設置されています。この国立がん研究センターに、がん患者の外見に関する問題を専門的に支援する【アピアランス支援センター】という機関があります。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/appearance/

「アピアランス|Appearance」とは英語であり、意味は「外見」です。

この【アピアランス支援センター】は、2013年に発足し、がん患者の外見に関する問題を専門的に支援することに取り組んでいる機関です。エビデンスによって段階ごとにしめしたケアや製品、方法についての手引書も発行されていて、多くの情報に何が正しいのか迷いがあるかたや、ケアの方法がわからない方にとって重要な一冊になるでしょう。Amazonからの購入も可能です。記事の一番下に書籍のサイトリンクを貼っておきます。

白血病などがんを患った方たちの不安や苦痛は、口内炎や発熱・痛みより、脱毛や皮膚・爪の変化など「外見の変化による苦痛」のほうが大きいという調査結果もでています。

外見の変化は命の危険がないため、医療者からすると大きな問題ではないかもしれませんが、本人からすると大きな問題です。それは、その苦痛の本質が 「自分らしさなどの自己イメージの損失」、「社会、とりわけ他者とのかかわりの中で感じる苦痛」であり、本人と社会をつなぐ重要な問題なのです。治療モチベーション維持にも深くかかわります。

がん患者の外見の変化へのケアについては、欧米において早くから医療への取り組が行われ、専門機関をもつ病院も増えてきているといいます。

私は、看護免許を持つ者としての視点と、イギリス在住であるため、なるべく海外からの情報も取り入れ、外見の変化へのケア、製品、方法を発信したいと思っています。


自分でできるセルフケア

1.皮膚に対してできること

■入浴時の注意点:界面活性剤を含まず、刺激の少ない中性石鹸を使う。しっかりと泡立て、皮膚を傷付けないようそっとやさしく洗う。

石鹸を使っているからいいだろうとたっぷり使わず、石鹸の量も控えめに使用する。(石鹸の使い過ぎも肌を乾燥させます)

熱い温度での入浴、シャワーは控える

■皮膚に十分なうるおいを与えるために、保湿剤をやさしくなじませるように塗って保湿する。保湿剤でのケアは重要です。いろいろありますが、治療中はドクター処方の保湿剤を使用する

体を締め付けない服や靴下を選ぶ。肌への刺激が少ない綿を選ぶ。靴下や手袋で保湿効果を高めて保護する

■リップケア治療開始から、唇の乾燥を防ぐために、天然成分のリップクリームやバームで唇を保護する

■シミ、黒ずみに関しては、コンシーラーでカバーできる

2.爪に対してできること

■爪を清潔に保つ。

■爪や爪の周りを保湿剤でしっかり保湿する

■爪を短く切る。深爪しないように注意する

■薄くなった爪の保護をする。医療用のネイルで爪を保護する

■除光液にはトルエンを含まないものを選ぶ

ジェルネイルは、推奨されていません。


治療後も肌が敏感だな、と感じているなら、基礎化粧品はなるべく化学物質や香料、アルコールのないっていない製品を使用します。これらの刺激の強い成分は肌をさらに敏感にさせる可能性があります。また、スクラブ入りの洗顔剤の使用も避けましょう。

治療後に外出する場合は、日焼け止めが必要です。日焼けは肌を刺激します。優しい成分の日焼け止めを使用しましょう。

外見のケアで参考になる有用本を2冊紹介ます。

●国立がん研究センターのアピアランス支援センターが発行する外見ケアの手引書。エビセンスに基づいて紹介されているので自分で考えてケアの方法を選べます。

●抗ガン剤の治療を受けた経験をもつソシオエステティシャンである著者が、みずからの経験をもとに、外見ケア(ウィッグの選び方、メイクアップ、下着など)の方法をまとめてある書籍。具体的ですぐ実践できます。
「ソシオエステティシャン」とは、フランスでは国家資格として認められているもので、「社会的、肉体的、精神的に弱い立場にある人に対し、医療と福祉の知識を持ち、エステティック技術を通して、その人たちが自分らしく生きられるように支援する活動」をさします。

あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。