HLA検査ってどういうこと?12の質問

造血幹細胞移植には、本人とドナーのHLA検査が必要です。

HLA検査をするのは、患者本人、家族のドナーとなる人、骨髄バンクドナーに登録する人です。
まず、兄弟姉妹にドナーとなる意向があるか確認します。兄弟姉妹に一番に声がかかるのは、他の血縁や他人より一致する確率が高いためです。兄弟姉妹なら型が完全一致する確率は4分の1です。

私達家族の場合、急性骨髄性白血病の患者である妹には、ふたりの姉がいました。(ひとりは私です。)妹の白血病の型が「M6」だったことから、当初より移植が検討されていて、入院と同時に血縁者の確認と兄弟姉妹へのHLA検査、ドナーになる可能性の説明を受けました。

話を聞いた時点で、わたしももうひとりの姉の答えはすでに決まっていて、ふたりともこんな風に思っていました。

「自分の型が合いますように!」

わたしが実際にHLA検査を体験してみて、HLA検査の基本情報や、当時不安に思ったことを12の質問にして紹介します。


HLA検査ってどういうこと?12の質問

Q1.簡単にいうとどんな検査?

白血球の血液型のこと。
(Human Leukocyte antigenの略)をHLAといい、この型を調べる検査のことです。

Q2.なぜHLA検査が必要なの?

移植をうける人とドナーの相性(組織適合性)を調べるため。

Q3.なぜHLAの相性がよくないとダメなの?

移植すると、拒絶や移植したドナーの細胞が患者の細胞を敵とみなし攻撃します。これをGVHD(ジーブイエイチディー)といいます。
移植の相性が悪いと、より強い拒絶、より強いGVDHが起きるため、移植を成功(重症の急性GVHDの発症を防ぐ)させるために事前に相性のいいドナーを探すことが重要になります。

Q4.HLA検査をする人は?

同じ親の兄弟姉妹、兄弟姉妹が一致しない場合は、両親・子供など血縁者。
また骨髄バンクドナー。

Q5.どこでHLA検査ができるの?

●患者と同じ病院
●血液内科のある病院

Q6.HLA型が完全一致しないのに移植するのですが大丈夫?

GVHDには良い面があります。GVHDの免疫反応は、移植後も患者の体内に残っていいるかもしれない白血病細胞を攻撃してくれるのです。これは、再発を防ぐことにつながります。これをGVL効果といいます。軽症の急性GVHDを発症した患者は、再発率が低い、という解析結果も報告されています。

しかし、やはり拒絶やGVHDの発生頻度が高くなることは、リスクが高いと考えられています。

Q7.検査をしたら6つの数字がわかりました。数字の意味は?

●6つの数字は、HLAの「血清型」といいます。

●HLAの型を決める遺伝子群は6染色体にあり、このなかで移植に重要なものがA座、B座、DR座と呼ばれる遺伝子です。この遺伝子は、ハプロタイプとよばれる3つがセットになっていて、親から遺伝するものです。すなわち父親由来の3つの数字であるハプロタイプのA、B、DRの3つと、母親由来の3つの数字であるハプロタイプA、B、DRの3つで、合計6つの数字となります。

Q8.どうなっていたら型の一致となるの?

通常の移殖では、患者とドナーのHLA型6つすべての数字が一致していれは「HLA完全一致ドナー」と呼びます。

Q9.自分の血液型と患者の血液型が違います。ドナーになれる?

通常の血液型とは、赤血球のABO式型のことで、この血液型は移植においては重要ではありません。

血液型が違う場合は、血液型不適合移植となり通常の移植に加えて処置や治療が必要となります。移植後の血液型は変わります。

Q10.HLA検査をすることになりました。どんなことをするの?

採血検査と同じです。腕の静脈から少量の採血をして調べます。わたしの場合、結果は後日郵送されてきました。

Q11.検査費用はどのくらい?

HLA型を調べるための検査費用は、施設と検査精度により大きく異なります。健康保険外の検査項目となり、全額自己負担です。目安としては10000円から60000円。

私達家族は入院先の病院と家の近くの病院2つの病院で比較したところ、大きな金額の差があり驚きました。入院先の病院が非常に良心的な金額だったので、検査の依頼をしました。全額自費負担となり検査人数が多い場合、高額になります。一か所だけで判断せず、ほかの血液内科のある病院に検査費用を聞いてみることをおすすめします。

ちなみに、私達が支払った金額は、一人につき15,000円ほど。私ともうひとりの姉と二人検査をしたので計3万円ほどになりました。

Q12.HLAの型が一致しました。次にどうしたらよいですか?

担当医師に連絡します。その後担当医師、コーディネーターと話し合います。
医師からはドナーとなる前の採取方法や、危険性、今までの事例などの説明を受けます。自分が納得した上でドナーとなることを決意すると、ドナー候補となります。


骨髄バンクドナーの場合、検査結果のHLA型はデータとして登録され、移植が必要な患者のHLA型と照合されます。

わたしはHLA検査の結果が郵送されてきたときのことを鮮明に覚えています。

帰宅すると、もうひとりの姉が目を真っ赤にはらしていました。何事か??と驚いているとHLA型の結果が不一致だった、そのことにショックを受けて家族全員が沈んでいました。

残る希望は、わたしのHLA検査結果です。同じ日に郵送されてきたので、家族全員で固唾をのんで封筒を開けました。

紙をひらくと、、、、、

わたしの6つの数字は、妹の数字と完全に一致!

私は、おもわずニヤリ、他の家族はうれしい気持ちと同時に、今度は私に対する体への負担の心配で、うれしいやら驚くやら悲しいやら、不思議な時間でした。もうひとりの姉は、「わたしが一致してなくてごめんね」と言っていました。

この時点で、わたしはドナーになることに何の迷いもありませんでした。

いつもくじ引きでは「あたり」をひけないわたしが、、、。この時ばかりはまるでこどもが「あたり」を引いたみたいなうれしさでいっぱい!
兄弟姉妹がいることがこんなに素敵なことなんて知りませんでした。家族の愛があふれていて、この家族なら一致団結して妹の病と闘っていける、と確信しました。

HLA検査は、移植のための最初の一歩です。血縁者であろうと非血縁者、骨髄バンクドナーであろうと、HLAの型が合わないことには移植へと進むことができません。そして、兄弟姉妹間での合致する確率は4分の1と先に紹介しましたが、非血縁者の場合は数百から数万人に一人となり、非常に稀な確率となります。

血縁者であろうと、骨髄バンクドナーであろうと、HLA型が一致すること自体が稀有なことなのです。そこに深い縁を感じずにはいれません。

そして、もうひとつ。

家族間でHLA検査結果が合致した場合でも、ドナーとなる決断はドナー本人が決定します。HLAが合致しても「ドナーになることはできない」という選択をした家族もいます。ドナーになる、ならないは、今後の人生、自分の体調、家庭の状況、ドナーになることの危険性、不安、恐怖、すべてを熟慮して、本人の熟慮が必要なのです。

わたしは「ドナーになれない」選択をする人の気持ちもよくわかります。ドナーになった当時、わたしは4歳のひとり息子をシングルマザーで育てていたため、息子のあどけない顔をみるたびにドナーとなることに不安や恐怖を感じました。

ドナーになることへの選択、それは、あなたが決めることです。断る自由もあることをわたしは愛をこめて伝えたいと思います。

あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。