「慢性骨髄性白血病ってどんな病気?」
ある日突然「慢性骨髄性白血病」だと診断されたら?
もあしあなたのまわりに「慢性骨髄性白血病(CML)」を患っている人がいたら?
この記事では「慢性骨髄性白血病(CML)」についての10の知識を紹介します。
この記事を読むことで、、、
- 慢性骨髄性白血病とは何か?
- この病気が見つるきっかけは?
- 原因は何か?
- どんな治療をするのか?
…など、慢性骨髄性白血病(CML)について知りたい人はぜひ参考にしてください。
1)慢性骨髄性白血病はどんな病気?
慢性骨髄性白血病(まんせい こつずいせい はっけつびょう)は、骨髄の中にある血をつくる働きのある細胞(造血幹細胞)の遺伝子が後天的に傷つけられたことによって起こる病気です。
この病気になると正常な造血コントロールがきかなくなり、白血球や血小板などの血液細胞を作りすぎてしまう状態になります。
こうして細胞はどんどん増え続けますが、異常な白血球をつくる急性白血病とは異なり、作られ続ける細胞自体には異常性はありません。
正常な細胞が無秩序にどんどん作られ続ける病気が慢性骨髄性白血病なのです。
日本では、毎年約10万人に1人の割合で発症するといわれています(白血病患者の2割ほど)
2)慢性骨髄性白血病とわかったきっかけは?
自覚症状がほとんどないため、多くの人は検診などの血液検査や、他の病気で受診したことによって偶然に発覚します。
まれにこの病気は脾臓の腫れが起こるため、左腹部の不快感や微熱、だるさがつづく、などの症状から病院の診察をうける方もいるようです。
血液検査の結果で白血球の異常がみつかり、血液内科のある病院で骨髄検査の「骨髄穿刺(マルク)」をしたうえで病名がわかります。
血液検査では白血球数の増加がみられます。
3)慢性骨髄性白血病に多い年齢はあるの?
年齢に関係なく発症者がでます。
日本においては50才以降がもっとも多く、男性にやや多い傾向がみられます。
4)原因はなに?
慢性骨髄性白血病は、うまれた後のなんらの原因によって遺伝子が傷ついたことによって発生することがわかっています。
少しむずかしい事を言うと、、、
染色体の9番と22番の一部が切断され入れ替わることによって、特殊なフィラデルフィア染色体が生じることがわかっています。
また、広島や長崎の原爆による被爆者から多くの人がこの病気を発症したことから、放射能被爆も原因のひとつであると考えられています。
しかし、なぜフィラデルフィア染色体が生じたのかの明確な原因はわかっていません。
5)3つの病気の状態がある
慢性骨髄性白血病は進行性のある病気のため、3つの病期にわけられています。
1)慢性期
多くの場合、慢性期に慢性骨髄性白血病だとわかる患者さんが多いといいます。
慢性期には、定期的に受診し処方された薬を飲むことで普通の生活がおくれます。
症状もほとんどなく、血球数をコントロールするための治療が行われます。
慢性骨髄性白血病では、いかに慢性期をうまくコントロールするかがとっても大事!
2)移行期
慢性期の血球のコントロールができなくなると、移行期へと進みます。
骨髄の中では芽球(がきゅう)と呼ばれる異常な白血球がふえるようになります。
移行期の期間は、だいたい6~9ヶ月といわれます。
3)急性転化
移行期からほどなくすると、急性転化とよばれる時期がやってきます。
命の危険があります。
骨髄の中は芽球でいっぱいになり、正常な血球がつくれなくなります。この状態になると急性白血病の骨髄機能不全と同じ状態となります。
6)慢性期の注意点
慢性期には、特別な症状もないため、治療の必要性をなかなか自覚できません。
でも、慢性骨髄性白血病は進行性の病気です。
治療をしないてほっておくと、血球の数が増えすぎて、脾臓の腫れが悪化するなどの
慢性期に血球コントロールの治療をして、この時期を保つことが非常に重要なのです。
繰り返しますが、この時期の定期的な通院は絶対に欠かせないものです!
7)慢性期から移行期への病状チェック
- 原因不明の発熱がつづく
- 貧血
- お腹の左側が痛む(脾臓の腫れ)
- 骨が痛む
白血球・血小板が増え、骨髄や血液中に芽球があわられます(5%異常)
また、血液中の好塩基球、好酸球が増えます。
8)移行期から急性転化の病状チェック
- 貧血
- 高熱がつづく
- 感染症にかかりやすい
- 出血
骨髄・血液中に芽球が急増(20%以上)し、骨髄以外の臓器に芽球があわられます。
脾腫もおこります。
9)どんな治療をするの?
4つの治療法がありますが、現代においては分子標的治療薬による薬物療法が第一の選択肢です。
1)分子標的治療薬
いわゆる慢性骨髄性白血病の「新薬」といわれ、治療の第一選択肢です。
病気に関わる分子だけを標的として効率よく攻撃(作用)するようにつくられた薬です。
この新薬が開発される前は、インターフェロンや抗がん剤が治療の選択肢でした。
薬価はっきり言って高額ですが、特に慢性期においては病気を小康状態に保つための大事な薬です。
分子標的治療薬は数種類あり、改良されるとともに新しい治療薬も開発されています!
2)造血幹細胞移植
分子標的治療薬がきかなくなる(抵抗性をもつ)人や、移行期や急性期になっている人には、造血幹細胞移植は大事な治療法です。
3)インターフェロン療法
1990年代から日本で慢性骨髄性白血病の治療薬としてつかわれてきましたが、分子標的治療薬が開発されてからは、現在ではほとんどつかわれなくなっています。
自分で注射する必要性や、うつなどの副作用がでたりなどのリスクがありました。
昔の慢性骨髄性白血病の患者さんの闘病記にはこの治療についての記事が多いです。
4)抗がん剤治療
急性期や分子標的治療が効かない場合など、抗がん剤を組み合わせた治療で治療の効果を高めます。
10)慢性期骨髄性白血病を患った有名人はいるの?
カリーム・アブドゥル・ジャバー(元バスケットボール選手)
カリーム・アブドゥル・ジャバー氏は、アメリカの元バスケットボール選手。
1970年代から約20年にわたりNBAの第一線でプレーし、史上最も得点した伝説的な選手でした。
引退後に慢性骨髄性白血病を発症、世界を驚かせました。
最初の告知から10年が経過した今も定期的な受診をして闘病しています。
ジャバーについての記事はこちらも参考になります。
服部海斗さん
服部海斗(はっとり かいと)さんは、将来を嘱望されたプロボクサーでした。
慢性骨髄白血病によって17才の若さで他界されています。
12)神山賢一さん
神山憲一(こうやま けんいち)さんは、陶芸家、神山清子(こうやま きよこ)さんの長男です。
長男の賢一さんは29歳のときに慢性骨髄性白血病を発症し2年後に他界されました。
母親である神山清子さんの半生を参考にしたNHKの朝ドラ「スカーレット」が注目されています。
▶服部海斗さん、神山憲一さんについては、こちらの記事で詳しく記載しています。
蔵間 竜也さん(元 関脇)
昭和天皇もお気に入りだったといわれる大相撲力士、元関脇(せきわけ)の蔵間(くらま)。
引退後は、タレントとしておもに大相撲のコメンテーターとして活躍していました。
慢性骨髄性白血病の急性転化により1995年、42才で他界されています。
まとめ
以上、「慢性骨髄性白血病(CML)について知っておきたい10のこと」の記事を紹介しました。
血液のがんの中では比較的ゆっくり進行する慢性骨髄性白血病。
だからこそ、慢性期にいかに病気を小康状態に保つかがとても大事です。
分子標的治療薬が確立されていなかったすこし前の時代には、インターフェロンや抗がん剤による副作用に苦しむ人が多かったのです。
もちろん、分子標的治療薬も副作用はあります。
下痢や皮膚の炎症や湿疹、かゆみ、高血圧など。。。
しかし入院することなく社会生活が送れることは、現代の医学の進歩あってこそです。
薬ははっきりいって高額です。
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公的な医療費助成サービスや保険についてはこちらの記事でまとめています。
「急性骨髄性白血病」については、こちらの記事が参考になります。
▼無菌室での治療効果をたかめるためにしたいこと
▼脱毛に関すること、医療用のウィッグについてはこちらの記事がおすすめ
▼体力が回復してきたらこちらがおすすめです。癒しが必要です。
▼無菌室での治療、移植をしている人へのお見舞いについてはこちらの記事が参考になります。
▼入院準備品のリストはこちらの記事が参考になります。元看護師目線でわかりやすく、本当に必要なものやポイントがわかります。
あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。Byアルノ