わかりやすい!CAR-T細胞療法(遺伝子治療)とは?│白血病の最新治療法

CAR-T 遺伝子治療 免疫療法 白血病について

最新のがん免疫治療法である「CAR-T細胞療法」 が日本で承認されることとなりました。(2019年2月)

この聞き慣れない「CAR-T細胞治療」とは何か?他にも「遺伝子治療」、「がん免疫療法」、「がん免疫細胞療法」など様々に表現されるこの療法は一体どんな治療なのか?

私もまだ十分に理解していなかったので、この機会に詳しく調べてみました。

「CAR-T細胞治療」について、薬学や医学の知識がなくても大丈夫!わかりやすく説明します。

この記事を読むことで、「CAR-T治療法とは何か? 」、「その対象者は? 」、「実際の治療内容は? 」、「効果はあるのか?」、「問題はないのか? 」について理解できます。

スポンサーリンク

CAR-T療法(カーティ治療法)とは?

「CAR-T療法」とは、「Chimeric Antigen Receptors Cell Therapy」の略語です。「キメラ抗原受容体細胞療法」ともいいます。

読み方は、「CAR-T=カーティ」つまり、カーティ治療法とよみます。

CAR-Tは免疫療法の一種で、がん患者自身の免疫細胞(T細胞)を取り出し、攻撃する力を高めるためCAR-T遺伝子を組み込んでから、患者の体内にもどす ことで治療する(がん細胞を攻撃する)、という治療法です。

この免疫増強治療法は、欧米ではすでに実施されています。

アメリカでは2017年8月に初承認され、イギリスでは2018年10月に承認されました。世界でも最先端の医療です。

対象者は?

対象となるのは、以下の患者さんです。

がんが再発するなどし、これ以上標準的な治療法(例えば2回の移植でも再発など)では効果が期待できない難治性と考えられる場合で、次の疾患の患者さんが対象となります。

 ❍急性リンパ性白血病のうち、25歳以下のB細胞性急性リンパ芽球性白血病

 ❍悪性リンパ腫のうち、成人のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫

現在国内では、250人ほどいると考えられています。

今までの治療法で治っている人も多いため、この最新治療が採用されるのは、再発や難治性が確認されたごく一部の患者さんになります。

しかし抗がん剤治療が効かない、移植でも完治しなかった患者さんやその家族にとっては、CAR-T治療の承認は極めて重要な治療法になるのです。

CAR-T細胞は、B細胞腫瘍に対する攻撃能力が高いため、B細胞疾患が対象となるのです。

 

どんな治療になるのか?

治療期間は、実際には数週間かかるといわれます。(長くても2週間ほどの入院となる)

全体的な流れ

最初に患者さんの血液が採取され、製造元の検査室に送られます。

ここで患者さんの血液はがん細胞と戦うように遺伝子操作されます。(詳細には T細胞の分離と活性化→CAR=T遺伝子をいれる→拡大培養 が行われています)

その後、CAR-Tの血液は病院に搬送され、患者さんにCAR-Tの血液を投与します。

実際に患者さんが行うこと

1)最初のステップ:血液の採取(採血)

2)2つめのステップ:遺伝子操作(改変操作された)された自分の血液を輸血のような形で戻す

数回にわたる抗がん剤治療と異なり、1回の施術ですみます。

 

CAR-T細胞療法につかわれる薬

治療薬は、各製薬会社が続々と創薬に着手しています。

日本で最初に承認されたのが、「キムリア(Kymriah)」。一般名は「tisagenlecleucel」。この薬はスイスのノバルティス社の開発薬です。

もうひとつ、アメリカやイギリスで承認されているのが「イエスカルタ(Yescarta)」。一般名は「axicabtagene ciloleucel」です。こちらはアメリカ、ギリアド・サイエンシズの開発薬。この薬は日本では第一三共が権利をもっています。

今後はCAR-T細胞治療薬の臨床試験、治験がさらに進むでしょう。実際に大塚製薬がタカラバイオから導入した「TBI-1501」を、武田薬品工業、小野薬品工業、アステラス製薬も創薬提携を行っています。

多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、無痛性B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫…などのがんに対しての臨床試験もはじまっています。

 

効果はあるのか?

一言で言うと、『CAR-T細胞療法は、有効性が高い』と言われています。

かなり進行したガンや、2回以上の移植で寛解しなかった場合での治癒の症例もあります。また、10人中8人の患者さんは治癒(8割!)し、またそのうち約半数が1年以内の再発をしていないというデータがあります。

CAR-T細胞療法、まさに最先端の治療法です!

 

課題・リスク・問題点はないのか?

1)高額の費用

CAR-T細胞療法の1つめの問題は、費用です。

アメリカの価格は、投与一回の価格が約4000万円~5400万円、イギリスでも同様の額であり、現在のところ効果が出た患者さんのみに費用を請求する「成功報酬型」の仕組みをとっています(製薬会社によって異なるでしょう)。

新薬開発のコストや、一人ひとりの患者に対する完全オーダーメイド療法であることを考えると、この莫大なコストは当然かもしれません。。

今後日本の社会保険、医療保険でどのように扱うのか、これは今後の重大な課題です。(現在のところ社会保険が適用される見通し)また、iPS細胞を使った費用をおさえるための研究も進んでいます。

この莫大な費用を社会保障で賄うには、国の財政も問題になってきます。

 

2)副作用

2つめの問題は、副作用です。

最も一般的な副作用は、「サイトカイン放出症候群(CRS)」と呼ばれ、投与後の早いうちに現れる副作用です。症状としては、高熱、悪寒、吐き気、疲労感など。約7~9割のほとんどの患者さんにこの副作用がでるといわれています。

しかし、この副作用には効果的な薬(tocilizumab)があります。

もう一つの副作用は、「CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)」といわれ、投与後5日あたりで現れます。症状としては混乱、せん妄、脳症、激越、発作など。2日~4日ほどでおさまるようです。早期対処が必須。

これらの副作用・合併症については、さらなる研究とデータ収集が行われています。

まとめ

以上、「CAR-T細胞治療」とはどんな治療なのかについて紹介しました。

ロンドンのキングス・カレッジ病院でこの遺伝子療法を経験したマシューさん(当時27歳)の体験談を読むことができます。↓彼は、急性リンパ芽球性白血病でした。(英語)

Patient experience of CAR T-cell therapy
Matthew is a 27-year-old patient who was diagnosed with Acute Lymphoblastic Leukaemia in 2015. Unfortunately, the normal treatment - chemotherapy and non-relate...

この遺伝子治療薬は、「究極の最先端医療」と評されていいるものの、副作用の管理や対処、長期的な有効性、どんな患者さん、どんな疾患に対して効果的な反応があるか、、、など多くの課題があります。

しかし、今までの治療では治らなかった患者さんにとって 素晴らしいニュースであり、生きるための希望の光です。

この遺伝子治療薬は、今後も様々な病気で検討されていくでしょう。データ収集や研究、臨床試験、治験はわたしたちが考えるより早く、確実なスピードで行われています。

今回、このCAR-T細胞治療について調べていくうちに、「この治療法は、がんや難治性の病気を克服するための大きな一歩だ!」と思わずにないられなくなりました。

あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。アルノ

白血病について
スポンサーリンク
フォローして新着記事の知らせをうける
ビューティフルデイズ

コメント