「もし家族が白血病になったら どうなるの?」
「白血病と言われた。わたしの家族はどうなるの?」
そんな悩みをもってる あなたのために記事を書きます。
この記事では、妹が白血病を患ったことを知ってから 【最初に悩んだ7つのこと】を紹介します。
この記事では、白血病を患った本人ではなく、その家族がテーマです。
家族のケアは日本では、ほとんど行われていません。
しかし精神的なショックと疲弊、金銭的な負担、家族の役割の変化など 白血病患者が受ける衝撃は少なくないのが現状です。
白血病の家族をもつということがどんなことなのか、理解の一歩となれば嬉しいです。
記事を書いているのは、元看護師で骨髄性白血病を患った妹のドナーになった経験のあるアルノです。
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1)どう声をかけていいのかわからない
まず、本人は白血病の診断を受けた段階で大きなショックをうけています。
心が病気を受け入れられるようになるのは、治療がだいぶ進んだところでしょう。
病気を受け入れる時間もないまま治療が始まるため、心の準備ができていません。
そして、それは家族も全く同じです。
あっという間に抗がん剤治療、放射線治療、、、と進む本人を見て、なんと声をかけていいのかわかりません。
それは、抗がん剤の副作用で脱毛していくときも、移植をするときも、副作用やGVHD(移植片対宿主病)の合併症で苦しんでいるときも同じです。
家族は、どう声をかけていいのかわかりません。
本人が一番辛いんだから、私がしっかりして支えなきゃいけない!と思います。
家族の擦り切れた心をケアする専門家はいません。
ただただ、どう声をかけていいかもわからず、本人の苦しむ姿を見るのがとても辛いのです。
2)辛い治療の様子をみることの精神的ショック
白血病の治療の辛さは、抗がん剤治療の副作用から始まります。
特に女性の場合、脱毛がなにより辛い。
抜けた髪の毛を見ると思わず涙が流れる、そんな姿を見なければなりません。
抗がん剤の副作用が終わると、ほっとする間もなく、次は移植でした。(妹の場合)
移植と、移植後のGVHD合併症との闘いは壮絶です。
高熱と口中がただれるほどの口内炎、ひどい下痢、肺炎の併発…
そんな弱っていく家族の姿をみることに大きな精神的ショックを受けます。何度も心が折れそうになりました。
家族としてしっかり支えなければいけない、と心を奮い立たせなくてはなりません。
▼抗がん剤の副作用で起こるつらい思いをすこしでも避けるため「あなた自身ができること」について紹介しています。化学療法をうける方やそのご家族、友人のみなさん、ぜひ参考にしてください。
▼医療ウィッグについてはこちらの記事が参考になります。
3)骨髄移植の心配
妹が白血病と診断されたとき、病名が『急性骨髄性白血病』、型が予後が悪いとされる『M6』だったため、最初から移植を視野にいれての治療が検討されました。
妹の兄弟姉妹である、わたしと姉のHLA型を調べることになりました。
HLA検査の結果、わたしと妹の型が完全一致し、ドナーとなることを決めました。
しかし一方で、シングルマザーで育てていた息子の将来を心配する自分もいました。ドナーとなることの危険性は覚悟しなければなりません。
自分がドナーとなることで、別の心配も発生します。
そして、それは骨髄バンクを介する移植でも同じようにいろいろな心配が発生します。
わたしとの末梢血幹細胞移植のあと、妹の白血病は再発してしまいました。
次は骨髄バンクからのドナーを探さなくてはなりません。
ドナー探しは医師が行うため、患者や家族が直接的に関わることはありません。
ドナーが見つかるのかと待ち続ける不安と恐怖。
実際みつかると、嬉しいのもつかの間、次は移植の成功、GVHDを乗り越える必要があります。
家族にとっても長い苦しい闘いです。
▼末梢血幹細胞移植のドナーとなった私の体験談はこちら
4)お金の問題
妹が白血病と診断されたとき、病院で看護師として働いていました。
しかしタイミングが悪いことに、妹は正看護師の免許をとるべく看護学校へ入学したばかり。
そして、勉強のために急性期のある総合病院へ転職したばかりのころでした。
白血病とわかった時点で学校を休学。その1年後迷った末に退学します。
入学して1ヶ月も通っていなかったのに、入学金や1年分の学費は戻ってきません。(最初の頃は、闘病が終わったら復学するつもりだったのです)
そして、働いていた病院では加入していた『傷病手当金』の申請を行い、役所で『高額療養費制度』の申請手続きを。
その他、民間保険会社の【医療保険】に加入していたため、入院給付金はもらえましたが支払い日数の制限があり、治療途中で保険ももらえなくなるという不安がつきまといました。
【がん保険】に入っている人と【医療保険】に入っている人、そもそも【保険未加入】の人の間に、おおきな精神的・金銭的な格差がうまれていました。
お金の心配、お金の問題は、闘病が終わって現在もずっと続いています。
十分な貯蓄額があったり、がん保険に入っている場合は、精神的にも落ち着いて十分な治療がうけられるのだ、ということをこのとき初めて思い知りました。
また、家族もお金の負担がついてまわります。
入院に関連する生活日常品、お菓子やちょっとしたさしいれの準備など。
予想外に大きい出費だったのは、病院への交通費でした。
5)お見舞いの悩みと、ぬぐえぬ疲労感
お見舞いは頻度や看病、持っていくものなど家族にとって重要なことです。
ます、感染の面から考えたとき、自分が風邪などの感染症にかかっていたら、お見舞いを控える必要があります。
本人が感染にかかりやすい状態のときはもちろん、病棟全体に感染しやすい患者さんがいるのです。
マスク・手洗い・うがいを徹底して、自分が感染源とならないように気遣わなければなりません。
また、お見舞いに行きたい気持ちと、実際に頻繁に行けない事情が発生します。
その時に、自分がお見舞いにいけないことに対する心の痛みも感じることになります。
わたしの場合、新しい病院に勤務したばかりで覚えることが多く、育児もシングルマザーできりもりしていたときに、妹が再入院することが決まりました。
当時は実家暮らしだったので、食事の準備は母がしてくれていましたが、妹の病状の心配と、病院勤務とお見舞いで車を一時間かけて通う日々、そして育児、、、
考えることもやることも、覚えなくてはいけないことも、社会的責任も、やること考えるべきことが多すぎて、毎日が疲労感でいっぱい、爆発しそうでした。
私達の家族の場合、中心になってお見舞いや看病にあたったのは母でした。
家族全員揃いも揃って、ライフステージの多忙な時期でした。
母がいなかったら、どうなっていのかと思うとゾッとします。
6)家族の役割の変化
妹の場合は、一人娘がすでに成人していたため、大きな家族の役割の変化の影響はなかったように思います。
しかし、これが例えば一家の大黒柱の働き盛りのお父さんだったり、、
シングルマザーで子供を育てるお母さんなら、、、、
どうなるでしょう?
主婦だったら、家事や育児の時間が取れなくなります。
大黒柱が倒れたらその家はどうなるでしょうか?
7)治療と死の恐怖
抗がん剤治療に、放射線治療、幹細胞移植GVHD、そして無菌室での集中治療。
どの治療段階でも、それぞれに辛い治療の場面がありました。
脱毛で泣き、抗がん剤の副作用で苦しみ、移植の生着に不安になり、GVHDで激しい痛みに耐える姿を見る。
常に死の恐怖がつきまといました。
正直に書きますが、その死の恐怖は今も続いています。
今でも私も夜中に息苦しくなって不安でいっぱいになり眠れない夜があります。
私でもそうなのですから、本人はもっと多くの夜を不安と恐怖ですごしているはずです。
健康で働き盛りのころは、『自分が病気になる』ことを前提に暮らせません。家族が大病をすると、【大病を患う可能性は、誰にでもあるのだ】、ということを思い知らされるのです。
まとめ
以上、『家族が白血病になると実際に悩んだこと7つ【白血病の家族の体験談】』を紹介しました。
日本の白血病治療において、患者の精神的なケアはまだまだ遅れていると感じます。
イギリスを例にすると、患者の治療+精神的なケアが当然求められます。
そして、その精神的ケアは白血病を患った人の家族にも向けられます。
例をあげると、私のイギリスでの友人のひとりは、ホスピスで亡くなった患者さんの家族のケアのためのリラクゼーションマッサージをボランティアで行っていました。
白血病患者の家族もたくさんのことに傷つき、ショックをうけ、そして疲れています。
もし、あなたが白血病患者やがん患者の家族を知っているなら、あたたかく見守ってほしいと思うのです。
日本の社会は、弱者に冷たいところがあります。
妹が危篤と知らせがあったとき、私は病院の仕事を切り上げることが許されませんでした。
まだ重要な仕事がなかったにもかかわらずです。
少しでも多くの人が、白血病患者の家族の苦しみを理解してくれると嬉しいです。
▶移植治療後に寛解し、7年たった妹の体験談です。こちらもぜひ参考にしてください。
▼無菌室での治療効果をたかめるためにしたいこと
▼脱毛に関すること、医療用のウィッグについてはこちらの記事がおすすめ
▼体力が回復してきたらこちらがおすすめです。癒しが必要です。
▼無菌室での治療、移植をしている人へのお見舞いについてはこちらの記事が参考になります。
▼入院準備品のリストはこちらの記事が参考になります。元看護師目線でわかりやすく、本当に必要なものやポイントがわかります。
あなたの大切なひとも、あなたも、一日の始まりには「今日も美しい日だ」と思えますように。Byアルノ